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「いいかい、怖かったら怖いほど、逆にそこに飛び込むんだ。やってごらん」
岡本太郎
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『いきなり家?それはないわ』
思わず固まった。直家ルーティンの突然の失敗。23:30。ラインで完全に仕上げて直家の流れにしたのに、その提案はあっさりと却下された。
『まじないわー。友達が渋谷のクラブ行くらしいから、私そっち行ってくるね』
慌てて彼女をなだめにかかる。彼女をナンパしたのはとある日の渋谷キャメロット。ナンパ男が腕を掴んできたところを、思いっきり払いのけてキレているところを目撃して、面白すぎて声をかけた。ラインは非常に盛り上がり、この日は飲み会の後にハルトの最寄り駅までわざわざ来てくれた。
すぐに作戦変更。家連れ出しの言い訳を一通りした後、「とっておきの店がある。そこで1杯飲んでから渋谷に行きなよ」と提案し、バー連れ出しを図った。そこでじっくりとなごんで、先程の失敗をなんとか挽回しようと思った。
バー。相変わらず彼女は不機嫌だった。『ヤリ目モロバレだから』ハルトは彼女に説教をされ始めた。ああ、これは流石に負けたか。そう思った。しかし、最後まで粘ることにした。彼女の不平不満をうんうんと聞きながら、口説くチャンスを伺っていた。
『でさ、そんとき元カレがさ・・・』
なんとか恋愛の話に持っていったが、ほぼ9割方彼女が喋り続けていた。2:00。これじゃ埒が明かなかった。バーを退店し、道路に出た。突破口が分からなかった。『どこいくの?』彼女がそう聞いてきた。なんとなく分かってきた。主導権。彼女が持っているようで、実は持っていない。最後まで主導権を持っていたのは、ハルトだった。
思いっきり攻めよう。
「いいから付いてきて」
ハルトはタクシーを呼んだ。
『家は行かないよ』
「うん。行くから」
『はあぁ?』
「乗って」
『えー。。』
「ほら」
彼女の肩を抱いてタクシーに乗った。キス。キスが返ってきた。そのままスムーズにハルト邸に移動。準即。積極的で、激しく乱れるセクだった。
「クラブに行ってる友達はいいの?」『あー、別に。。。』彼女はそう言って口を濁した。その後、朝方もう一度セクをした。もうすっかり、なついた猫みたいだった。真性グダだったとしても、臆することはない。本音は違うかもしれないし、本人だって、自分の本音に気付いていないことだってあるのだから。
キャメロット案件 1準即